父方の祖母が亡くなって、6年になります。四国を出て、東京の共同住宅でずっと生活をしていた祖母の部屋に妹と行ったのはもう30年以上も前の事になります。お風呂もなく、十分な数のお布団もありませんでしたが、楽しいひと時だったのを覚えています。祖母は年を取るごとに、叔父と一緒に身の回りの品物を片付けていたようで、病院で亡くなった時は、ほどんど何も持っていない状態でした。だから母方の祖母が亡くなった時と同様に、これと言った遺品整理もなく、片付けはすぐに終わりました。その時も形見と呼べるものはありませんでした。でも、祖母が亡くなった2年後に父が亡くなった時、実は祖母が父に写真を送って来ていたことを知りました。その写真の中には、私が見たことのない、子どもの父と着物を着た綺麗な祖母がいました。シロという犬と写っている父がいました。祖母がずっと大切にしていた思いが伝わって来ました。今、その時の数枚の写真を祖母と父の形見として、私が大切にしています。