30代後半の主婦です。お向かいの建物2階に住んでいたおばあさんが亡くなりました。面識はなかったのですが、少し前にこのお宅が空き巣の被害にあった事がありました。被害にあったすぐ後、窓ガラス交換と防犯システム導入の工事をしていたのが見えたのです。

しばらくすると、中型トラックがその建物の前にとまって、大掛かりな運びだし作業をしているのが見えました。亡くなったおばあさん宅から、たくさんのポリ袋などを運び出しているので、「ああ、いわゆる遺品整理をされているのだな」と思いました。ところが少し経つと、小型のクレーン車がやってきて、同じベランダから大きな家具類を引っ張り出しているのでぎょっとし、少しはらはらしながら見守っていたのです。

外に出た時、傍らで作業を見ていた初老の男性が話しかけてきて、「ご迷惑をおかけしてどうもすみません、亡くなった母の遺品を整理しているんですが、あの家具類はどうしても解体ができないのでこうして仰々しい作業になってしまって…」とおわびを言ってくれました。

おばあさんは空き巣にあった際、現金や貴金属を少々とられたものの、高価なアンティーク家具だけは「さすがに持って逃げられなかったのよね!」と無事であったことを喜んでおり、終始大切にしていたそうです。家具はその道の収集家に向けて買取されていくようでした。